電脳世界の空の下

今頃シュタインズゲートに到達した・・・感動した!!

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俺の右手に水の飛び散る音がした。
一点を中心に広がる波紋。
考えより先に俺はパニッシングを発動していた。
奴のいるであろう空間に向かって奴より早く技を放つ。
パニッシング独特の空を切り裂く音が響く。

だが、俺の刃は空を斬った。
(奴がいない!)
パニッシング後の硬直を起こしている俺の体。
背後にパニッシングの発動音!
おそらく奴は、まず小石か何かを投げ入れ囮に使い、反対側から襲ってきたのだ。
こんな子供だましの手にひっかかるとは!

時間が急にゆっくり流れるようになった。
足元より飛び散った水しぶきの一粒、一粒がはっきり見分けられる。
奴の刃が俺の背中に向かって近づいてきているのが感じられる。
回避しなければ!
だが、体が動かねえ。
精神は動けと命令するが、体はまるで石になったよう。
動け、俺の体!!
 


 
大気中に3連のパニッシングの発動音が響いている。


3連!?


硬直を脱して旋回しながら、背後を見やる。
まず俺の視界に飛び込んできたのは、両手に短剣を持った男のシルエット。
男のシルエットはゆっくり前のめりに崩れ落ちた。
その背後に2人の男女が立っていた。
俺はその顔に覚えがあった。
2人は特殊工作部隊のマスタークラスで、男はガックン(コードネーム)と女はツイン(コードネーム)、彼らは俺の先輩に当たるわけだ。
あまりのことに唖然としている俺を見て、彼らは顔を見合わせてニヤニヤしている。

「ど、どうして?」やっと言葉を搾り出す俺。
「お前が敵に追跡されているのを見つけてな。追いかけてきたんだ。」答えるガックン。
「ありがとう、助かった・・・でもいつから?」
「最初からだ。」
「最初!?」
「お前がネツァワルを出立した時に俺たちも出立したのさ。ずっとお前を視界に捉えながら移動していたんだよ。」
「!?」驚きで目を見開く俺。
(俺は2人の存在に全く気づかなかった・・・それにこれは俺の単独任務ではなかったのか!?)
俺の疑問を見透かしたようにツインが話しはじめた。
「もちろん、貴方に与えられたのは敵陣の偵察という単独任務。そして私達には、敵陣の偵察及び新人のフォローという単独任務が与えられていたの。偵察というのはそもそも単独で行うもの。大勢で偵察に行ったら、敵に発見される可能性が高くなるから。」
「そうか・・・では、最初に敵小隊に俺が発見された時はなぜ、姿を現さなかった?」俺は聞いた。
「あそこでは俺たちの力は必要なかった。そして事実、お前は無事切り抜けた。」ガックンが答える。
まだ俺には腑に落ちないことがあった。
「俺を襲ってきた男は・・・」俺は足元の死体を見る。
「夜明け前から俺を追跡していたはずだ。貴方方には奴を片付ける機会はいくらでもあったはずだが?」
「もちろん、何度もあったとも。だが確実な機会ではなかった。俺たちは奴が確実な隙を見せるのをずっと待っていたのさ。」

俺はまた唖然とした。彼らも俺たちを追跡しながら、6時間以上も機会を待っていたのだ。
「ハハ・・・スカウトってやつらは、まったく・・・」
俺は脚の力が抜け、その場にしゃがみこんだ。
ツインも片膝を立ててしゃがみ、俺の顔を覗き込む。
「新人にしてはよく頑張ったよ。」
「でも今回の任務で実感したでしょ。ハイドスカウトの心得。1に忍耐、2に忍耐・・・」
「3、4がなくて・・・」とガックン。
「5に忍耐。」と俺。
3人で忍び笑いをする。
「さて休憩はここまで。ハイドをして国境を目指すよ。」ツインが言う。
うなづく俺とガックン。

俺たちは三つの影となり、国境目指して疾走を開始した。

762[1].jpg



おわり
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俺は平原の中を流れる河に向かって走った。
河は幅10メートルほど、水深は膝くらいで流れはゆったりしている。
俺は河に沿ってしばらく走り、目当ての地形を探した。
ほどなく俺は、河の中央に直径2メートルくらいの大岩を見つけ、河に走りこむとその平らな上部に跳びのった。

(ここならおあつらえ向きだな・・・)
たとえマスタークラスでもハイドで水面を移動する際には波紋を残す。
奴が俺に近づくためには、少なくとも一歩は水面に足を踏み入れなければならず、その波紋によって奴の接近が感知できるのだ。
もし波紋が生じたら、すかさず俺のパニッシングを奴にぶち込み、ひるんだ隙にレッグブレイクを使う。
だが、無謀な追撃はせず、そのまま最後の力を振り絞って国境まで走りぬける。
これが俺の立てた作戦だった。
   
俺は大岩の上にしゃがみ、携帯食を口に含んだ。
少しでも力を回復しておかなければならない。
そして俺は待った。
待っている間、俺は特殊工作部隊の老教官のことを思い出していた。
彼は頬に十字の傷のあることから、クロスと呼ばれていた。
若い時は、多くの武勲を立てた短剣スカウトだったという。
講義の中でクロス教官は言っていた。
「ハイドを使用中はな、1番大切なことは忍耐だ。例えばもし敵にハイドで近づくとする。この時、戦闘の優位性はこちらにある。なぜなら、相手がこちらに気がつかないかぎり、無防備の相手にパニッシングなり、他の攻撃が行えるからだ。」
「だが、確実な機会を待たず、焦ってパニッシングを使用し、その攻撃を外したとする。その時、戦闘の優位性は相手に移るだろう。こちらは技を出した後の硬直で無防備であり、もちろんハイドが解けているからパニッシングを使うこともできない。」
クロス教官は片目をつむって親指で自分の首を掻き切るマネをした。

「つまりハイド中の心得とはな、確実な機会を捉えるまで、1に忍耐、2に忍耐、3、4がなくて5に忍耐なんじゃよ。」
彼はこの冗談めいた言い回しを好んで使っていたのだった。

(1に忍耐、2に忍耐、3、4がなくて5に忍耐か・・・。)
俺は心の中でつぶやくと、そのまま待ち続けた。
奴が応援を呼びにいったり、俺の追跡を諦める可能性についても考えてもみたが、格下の俺に対してそのような行動を取ることは、奴のプライドが許さないだろう。
奴は絶対攻撃してくる。
やがて陽は落ち、辺りは黄昏てきた。

そして、それは唐突に起こった。



後編につづく
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